PCレスキュー | 直して感謝され、また人と繋がっていく 信頼を得るために心がけていることとは。

直して感謝され、また人と繋がっていく 信頼を得るために心がけていることとは。

千葉県 PCレスキュー代表 監物真樹氏

ふとしたきっかけで、人生が大きく舵を取ることがある。
監物氏の場合、それはカフェでの出会い、そしてパソコン整備士との出会いだった。

パソコン少年を突き動かした、当たり前を証明する資格

カフェの片期に店を梢え、今年で4年めになる監物氏。
「元々は客だったんです。mixi で知った店に子ども達と来たら、たまたま蓮井さんのマシンが調子悪いということで、見ればメモリが足りなかったのでメンテナンスしてあげたんです。
『そういう困ったヒトはいっばいいると思うよ』と言われて」その後、休日オンリーで開業。と言うより副業からのスタートであった。現在はフルタイム。

月40~50 の依頼が舞い込む。大半は地元だが地元で匙を投げられたと、阿蘇から修理依頼品が届いた時は驚いた。むろん修理は完了。舘山からクルマを飛ばしてきたという方もいれぱ、アメリカから間合せが来たことも。
氏はオーディオからパソコンヘ転身された異色の整備士だ。オーディオと無線が大好きで、自作パソコンを作っていた。将来は回路屋さん、定年後は趣味でアンプを作る暮らしを送りたい。それが望みだった。卒業後、大学の技術職員の座を蹴ってオーディオメーカーに入社。パソコンは趣味でいいと思っていた。品質保証部に配属されたのは天の計らいであろうか。ここでヒトが作る設計を見る目を養え、今に繋がるのであるから。
後にプログラムを触る様になり、自然とトラブル対策をする様に。その頃たまたまネットで検索していたら目に留まったのがパソコン整備士だ。好きな事を深めるためにいくつかの資格を取ってきた氏にとっては、ソフトハード双方を網羅し、フォローアップ制度のあるところが魅力に感じられ、取得に至る。パソコン少年を突き動かした、

当たり前を証明する資格

「いろんなところに繋がっている資格だと思います。会報誌は毎号読ませていただいています。よそはどのようにやっているのかとか参考になりますね」
「現場でやっているヒトには当たり前の事でも、その当たり前を証明できる資格が他にないんですよ。早く1級を取らねばと思っています」

開業当初は悩んだ。元来技術者なので電子回路は詳しいけれど、商売に必要な接客や価格設定などが分からない。本誌に2度登場いただいたPCクリニックを知り、連絡。唐突な打診にも、社長と古屋氏にとても視切にしていただいたと言う。

「料金表など持って行けるものは全部持っていっていいよと言っていただいて」

経営の心がけから懇切丁寧に教えていただいた。
取引先も紹介いただき、ノウハウの共有ができた。
「ビジョンを持て」という社長の哲学が胸に生きている。難度の高い修理は取引先に依頻するのだが、幾度もやりとりした北悔道の会社に「監物さんなら自分でできるよ」と言われ、液晶パネル交換やマザーボード修理等を自分でやる様に。今はPCクリニックからも依頼されるようにまでなった。
「公私共々懇意にしていただいています。一緒に戦ってくれる仲間だとまで言っていただけました。
最近は『早く人を人れろ』と言われるんですよ」と笑う氏は、データサルベージの阿部社長とも親交がある。

中古パーツを買ってきて取り替えるだけという同業者の仕事を見、これはどうなのかなと感じたことがある。
「メーカーでエンジニアをしていたので分かるのですが、初期不良や設計段階の不良というのがある訳です。基板を取り替えれば一且は直るけれど、数ヶ月でまた同じ症状が出る可能性が高いんです。それを修理と言えるのかな」
根本的な解決でないのは明らかだ。交換ではなく修理をしたい。突き動かすのは使命感だ。
「メーカーではお客様からの意見を工場ヘフィードバックし改善していたので、それが当然だと思っています。近頃は設計段階でコストダウンをしているケースがあり、ものによっては非常にもろい箇所があるのです。どこのメーカーかを聞けば、どこが壊れたかが分かってしまいます」

基板を見れば組立光景まで浮かぶと言う。

「好きなんですよ。時間がある時はDATなどを直してますよ」かつてのパソコンとオーディオの関係が逆転しているようだ。
法人と取引を始めて感じたことがある。大手ベンダーにとって妥当なシステム、見積であっても相手先企業にとってそうとは限らない。過剰な場合もあろう。信頼を得るためには正しい事を正しいといい、身の丈にあったシステム、提案をすることではないか。
「その会社にとっての利益を考えてあげることです。面白いですよ、いろんな提案ができるので」
CAD の講師を頼まれた時のこと。触った事もないCADを教える? だが断るのは忍びない。

そこで本を買い勉強しマンツーマンで教えた。製図の基礎がある方なので上達が早い。みるみる内にマスターされ『うちのパソコン全部を任せたい』とまで言われるように。それから次から次へと仕事が膨らんで行った。その会社の情報システム部を睛け負ったようなものだ。勝ち得た信頼は大きい。
ウェブサイトを頼まれ、メニューの撮影までしたこともある。相手の懐に飛び込み信頼を勝ち取る。そこに邪な心はない。困っている事を聞き、解決する。痒い所に手が届くのであろう。企業が求めているのは、こういう人間ではないか。
こう言っては失礼かもしれないが、PCクリニック同様、商売っ気は希薄だ。そこに誠意が産まれる。
「皆さん、壊すんじゃないかと恐る恐る触られるんですよ。大丈夫です、壊れたらうちへ持ってきてくれればいいんですから」

人に教えるのも好き。「今はあまりにも高性能になりすぎて分からなくなっていますね。ボタンを押すとどうして動くのか。液晶はどうして光るのか 今のパソコンもそういう基礎の上になりたっているのだと、子ども達に噛み砕いて教えてあげたいです」

直して感謝されて、また人と繋がっていく。それが監物流儀だ。

■ 企業DATA
PCレスキュー
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